構音(発音)指導の5ステップ
構音指導(発音指導)の基本
ことばの教室では,日々発音の苦手な子どもたちに指導・訓練しています。といっても,楽しみながら出来るように話をしたり,ゲーム的な活動を入れたりしながら進めています。その発音の練習には大まかなに5つのステップがあります。そのステップを順序よく進むのが基本です。時には,前のステップに戻って基本を確認してまた戻ることもあります。ここでは,カという音を作るということで考えていきます。
ステップ1 子音を作る
カが言えない子どもたちの場合は,タという音になることが多いです。舌の奥を使うのが正しい発音ですが,それが苦手で舌の前で音を作ってタになることが多いように感じます。その出せない音「ka」を作るのがステップ1です。具体的にはいくつかありますが,以前紹介した
kotobanokyoushitsu.hatenablog.com
この本では,うがいから音を作ります。いくつかの方法の中からその子にあった方法を探して音作りをします。まずは1回でもいいので音がでるように目指します。もっと言えば,まずは近い音,そこからさらに仕上げて完成度を上げていきます。音が出るようになってきたら,2回,3回と連続で言えるようにしていきます。指導者によって基準は異なりますが,50回という人もいます。私は連続50回は難しいので,10回,20回と分けて言えれば次に進むようにしています。
ステップ2 無意味音節(五十音とセットで練習)
カが安定してきたら,カと他の五十音のセットで練習します。単語のように意味のないものなので,無意味音節といいます。例えば,カア,カイ,カウ・・・のようにしていきます。無意味音節は3パターンあります。
語頭・・・カア,カイ,カウ,カエ,カオなど(カが最初)
語尾・・・アカ,イカ,ウカ,エカ,オカなど(カが最後)
語中・・・アカイ,ウカエ,オカサなど(カが真ん中)
最初は音が出たり,出なかったりすることもありますが,徐々に安定して上手になります。
ステップ3 単語練習
五十音での無意味音節が安定してくると単語練習に入ります。単語も,ステップ2と同じように3パターンしていきます。
語頭・・・からす,かい など(カが最初)
語尾・・・いか,たか など(カが最後)
語中・・・いかだ,たかだい など(カが真ん中)
以前紹介したドリルでよく練習します。
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いつもお世話になっています。また,1年生の最初はひらがなの読みが難しい時もあるので,イラストのあるこちらを使うこともあります。
イラストと文字があるので,何度か練習するとイラストで言えるようになります。単語の中には,苦手な音・文字がある場合があるので上のドリルブックの中から編集して練習することもあります。CD-ROMでデータを編集しておくと再利用しやすいです。
〈CD-ROM〉 構音訓練のためのドリルブック [プリント作成ソフト] 改訂第2版準拠
- 作者: 岡崎恵子,船山美奈子
- 出版社/メーカー: 協同医書出版社
- 発売日: 2016/08/02
- メディア: 単行本
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ステップ4 文の練習
これもステップ3と同じようにドリルブックの文をよく使います。文も最初は短い文から少しずつ長い文にしていきます。文の練習に入ってすぐは,文節で区切って練習して続けていくようにしています。ここまでくるとかなり音が安定してきます。
ステップ5 音読・自由会話・しりとり
これまでの練習をして,しっかり音が出ると思っていても,おしゃべりをしていると音が出てこないことがあります。意識していると言えるけれども,意識していないとまだ言えないような段階です。その間をつなぐために,音読やしりとりをその音を意識しながら言う練習すると会話などでも言えるようになってきます。
最初に書いたようにステップ1から順に進めていくのですが,ステップ2に進んで練習していて音が不安定になってきたらステップ1に戻ることもあります。このステップは詳しく書くとそれだけで本になるので簡単にしておきますが,大事な所なので時々更新していきたいと思います。